ALBUM『Rock Band Is Not Dead』オフィシャル・インタビュー2020.11.25NEWS
Interview:樋口靖幸(音楽と人)
――作品のことを聞く前に、絆プロジェクトを立ち上げた頃の自分たちを振り返ってもらえますか?
一聖「ライヴができない状況に追い込まれ、バンドマンとして何をすべきかを考えた時、配信でメンバー同士のフリートークを毎日やってたんですけど、あの頃はとにかく何かやらないとっていう思いでああいうことを始めてみたものの、途中から〈何をやってるんだろう?〉みたいなよくわかんない気持ちになってたのが正直のところです。でも、あれをやったことで自分が救われた部分もあるし、あれを見てくれる人たちのおかげでバンドが存続できてるってことを確認できたんで良かったです」
優「俺も一聖と同じような感じというか、BugLugって基本的に活動に間が空くと怖くなるバンドで。でも本当だったら緻密に計画してやったほうが良かったとは思うんだけど、こういう時だからこそ思い付きでガンガンやっていけばいいんじゃない?っていうのがスタートだったんで、見切り発車的な企画ではあって。だからあれ自体がやって正解だったかどうかっていうのは正直わからないところはあって。かといってあの期間に何もやってなかったらバンドは腐ってたと思います。何もしなくなって、バンドを辞める生活もアリだなって思う可能性もあったかもしれなくて」
――そうならなくて良かったです(笑)。
優「そうっすね(笑)。配信がなかったら、どうせこの期間に俺たちのことなんて忘れるっしょみたいな、捻くれた気持ちになってたかもしれないし。だから一聖も言ってたけど、ファンがこんな時期でも応援してくれることがわかったのは大きかったなとは思います」
燕「やっぱり僕も何かしなきゃっていうのがあって。普段お客さんとあんまり近い距離にはいないバンドだけど、この期間のおかげでお客さんとの距離が近くなったことは決してマイナスではなかったと思います。お客さんも、僕らが何もしなかったらすごい不安だったと思うし。配信をやったことで生まれた曲もあるし」
一樹「そもそもBugLugって10年活動してきて、いつも何かしらの壁にぶつかるバンドで。で、今回立ちはだかったのがコロナという敵で。しかもめでたいアニバーサリーの年にライヴができなくなって。でもライヴができないなら他に何ができるのか、こういう時期だからこそBugLugのいいところを探すことで、バンドの新しい可能性が見えて来たらいいなっていう、ちょっとしたワクワクした気持ちはありましたね」
――そして新メンバーの悠介さんですが、本来は5月9日のワンマンの時に正式加入の発表が予定されていたそうで。
悠介「はい、そうですね」
――それが飛んでしまった時はどんな気持ちでした?
悠介「それも残念なことのひとつだったんですけど、その前にもサポートでやる予定だったライヴも飛んでしまって。本当はそこで自分のことをお客さんに知ってもらった上で加入できたら良かったんですけど、それもなくなってしまって」
――絆プロジェクトを立ち上げた頃のBugLug は、コロナ禍という状況に対してもすごく前向きに活動していた印象があって。でも今回の作品には〈Fuck The CORONA Collection〉ってサブタイトルにあるように、コロナに対してバンドが怒っているというか。
一聖「そうっすね」
――当時はポジティヴな思考だったバンドが、あれから数ヶ月の間にネガティヴな気持ちに変わっていったのかなって思ったんですが。
優「やっぱり当時とは変わってますね。4月とか5月はこの状況をチャンスに変えて俺らも楽しくしていこうっていうか、10周年でこんなことになっちゃうのは、BugLugっぽくてウケるな、みたいな感覚で捉えてて。でもだんだん、それこそ夏ぐらいからコロナの雲行きが怪しいというか、この状況がしばらく変わらないんじゃないか?って。配信もずっとやってきたけど、これって本来のバンドマンのあるべき姿なのか?みたいな疑問も出始めて。さらに配信ライヴが決まったんでやってみたら、今度はライヴ中に一聖がキレるし(笑)」
一聖「ははははは」
優「ああもうこれ駄目だなって。このままジッと状況が変わるまで待ってるのはBugLugらしくないと。だったら、無理してでもライヴをやっちゃったほうが本来のバンドの姿に近いのかなって。そうやってやりたいことをキレ気味でもいいからやっていこうっていう」
一聖「俺、自分でも言うのもアレだけど、性格的にはけっこう穏やかなタイプだと思うの。でもやっぱりお客さんがいない――それもわかりきった上でオンラインライヴを実行したけど、途中で何回も配信が止まったり演奏を何回もやり直してるうちに、だんだんこう……怒りのゲージが溜まってボカーン!ってなったんですけど。でも後でその日の映像を見てみたら、すげえトゲトゲしいライヴになってて、これだよな、BugLugらしさっていうのはって思って」
――BugLugは追い詰められてナンボというか。
一聖「ほんとにそれだと思って、いい意味でリセットされました」
――悠介さんは加入後初のライヴがそんな事態になってどうでしたか?
悠介「怖かったです(笑)。でも、後で映像を見返してみたら、すごくいいライヴだったんです。なので加入して早速BugLugの棘の洗礼を受けたんだなって」
燕「確かにあれは一聖らしいとは思ったけど、『もうライヴやんねぇ』って駄々こねだした時は、俺が逆ギレするかと思いました(笑)。でも一聖がヴォーカリストとして覚醒した瞬間ではあったんで、結果的には良かったんじゃないかなと思います」
一樹「俺は最初、『一聖、何に怒ってるんだろう?』って、まるで理解できてなくて(笑)。マイクを投げるほどキレることあった?って。その後、話を聞いて、そういうことかと。思い通りにいかない悔しさが弾け飛んだんだなって。で、その感情は本当にカッコ良かったし、BugLugの武器だと思うんで、ライヴの時は毎回ステージに落とし穴とかを作って、一聖に罠をしかけるぐらいがちょうど良いのかもって(笑)」
――そういうキッカケというか、溜まった鬱憤が爆発したこともあり、それが今回のリリースにも繋がっていったと。
優「当初の予定としては、年末ぐらいにシングルを出そうと思ってたんだけど、今BugLug が伝えたいメッセージって、シングルじゃ物足りないというか、もっと俺らが伝えたいことをコンセプチュアルにしたものがいいと思って。それで今の状況に対して立ち向かっていこうとする力だったり元気だったり、そういうのを感じてもらえる過去の曲と、今のBugLugが感じてることを新曲にして、それをまとめたものにしようと」
一聖「俺、よく思うんですけど、BugLugっていろんな楽曲があって、ポップなものから明るいの、暗いの、いっぱいあると思うんですけど、ずっと変わらないテーマがあって。それって『自分を超えよう』とか『限界を突破しよう』とか『辛いことを乗り越えよう』とか『自分に勇気を持て』とか、言っちゃうとその全部が自分で自分を励ましてるようなメッセージで。なので、よりそのテーマが濃い楽曲をセレクトして、アルバムという形にしたというか。コロナでみんな苦しんでる中、それに立ち向かうための一枚として」
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